ICT活用でエンターテインメント性を高めたスポーツ観戦を実現
第2回スポーツビジネス産業展 出展レポート

2019年3月25日

2019年2月27日から3月1日まで「第2回スポーツビジネス産業展」(リード・エグジビション・ジャパン株式会社主催、日本トップリーグ連携機構特別後援)が千葉県で行われました。富士通は展示ブースにて「スポーツデジタルソリューション」のご紹介を行いました。

<出展レポート記事>ICTでスポーツ産業に貢献する 富士通が最先端のソリューションを紹介

取材・編集:株式会社共同通信社

日本におけるスポーツ市場は2015年時点で5.5兆円(チケット収入や放映権、スポンサーシップ、グッズ販売、スポーツ用品、フィットネスなど)で、スポーツ産業先進国の米国の10分の1程度といわれている。スポーツ庁はラグビーワールドカップや東京オリンピック・パラリンピックなどを契機に、2020年に10.9兆円、2025年には15.2兆円への市場拡大を目指している。

スポーツ市場の拡大には、プロスポーツやアマチュアスポーツの活性化のほか、スタジアムを核とした街づくりやスポーツツーリズム、スポーツを活用した健康促進事業などに官民が一体となって取り組む必要がある。また、今後のスポーツ産業の発展に不可欠だといわれているのがICTの活用だ。

そのICTを活用したソリューションによってスポーツ産業への貢献を図る富士通株式会社は、2019年2月27日から3月1日の間、幕張メッセで開催された「第2回スポーツビジネス産業展」に出展。「スポーツをする人」「見る人」「支える人」に向けたソリューションや取り組みを紹介した。

「スタジアム・アリーナソリューション」のコーナーでは、2019年1月19日に富山市総合体育館で開催されたプロバスケットボール”Bリーグ” のオールスター戦で実施したライブビューイングの取り組みを紹介。

試合当日、東京・品川のライブハウスをライブビューイング会場として、幅14.2m×高さ4mの8K ワイドスクリーンと275インチのサイドスクリーン2台を設置。さらに「選手のプレー音」や「試合会場の歓声」が360度から立体的に伝わるサラウンド音響、ドリブルなどコート内の振動が足元から伝わる「振動スピーカー」を設置。品川会場に集まった約1,000人のファンは、富山市総合体育館の臨場感をリアルタイムに共有し、両会場のファンや選手が一体感に包まれたという。

富山市総合体育館には、8Kカメラ、会場の雰囲気を立体的に集音する360度マイク、ゴールの音を拾うゴールマイク、ドリブル音を抽出する指向性マイクや触感センサーなどを設置。8Kで撮影された映像は分割され、4K対応の機器で伝送。最新のデータ圧縮技術を用いて伝送遅延を約0.6秒に抑えたことにより、品川-富山の距離を感じさせることなく、自然な双方向コミュニケーションを可能とした。このシステムには、富士通のリアルタイム映像伝送装置「IP-HE950」を使用。臨場感あふれる映像や音声が安定的に伝送される、次世代型ライブビューイングを実現した。

ホーム&アウェイ方式をとるスポーツ興行において、原則として入場料などの収入はホーム側チームにのみ入る。そのため、次世代型ライブビューイングは、アウェイ側にとって新たな収入源になるものと期待されている。富士通では今後、複合型映画館(シネマコンプレックス)の設備を活用したライブビューイングの取り組みも検討しているという。

「スポーツセンシング/AI」を活用した事例では、体操の採点支援システムを紹介。富士通は「採点支援システムのグローバル展開」「選手育成に向けたICTの活用」「エンターテインメント性の向上とファン拡大」を目指して、国際体操連盟とパートナーシップ契約を締結し、採点支援システムの開発と検証を進めている。

採点支援システムは、レーザー光を1秒間あたり約200万回照射し、レーザー光が反射して戻るまでの時間から空間上の位置(座標軸)を測定。選手を立体的に捉える「3Dセンシング技術」と、捉えたデータにより関節位置を特定し動きをデータ化する骨格アルゴリズム、あらかじめ取得した技のデータベースで構成されている。2019年4月のワールドカップ、10月の世界選手権で検証や演技データの取得を重ね、今後開催される国際的なスポーツイベントでの本格稼働を目指す。

国際大会での採用により国際標準化を目指し、選手育成や審判支援に活用するほか、ファンに向けたリッチな映像コンテンツの提供により、競技団体の収益向上にも貢献していく。

また富士通は、「ファン向けサービス」「チケット提供サービス」「選手育成サポート」「競技団体の経営分析」が提供可能なデータ・マネジメント・プラットフォーム(DMP)を紹介。選手やファン、経営データなどを一元的に管理し、ビッグデータをもとにサービス向上を図り、ファンを広げて収益向上を図るもの。すでにBリーグとは共同で運用を開始し、さまざまなデジタルマーケティングに活用されている。

DMPをベースにアプリ等を開発し、試合会場周辺のホテルや交通機関の予約、周辺飲食店の割引クーポン、観光情報やスタンプラリー機能などをファンに提供できれば、競技団体にとって新たな収益源ともなり得る。今後は汎用性があり比較的安価で利用できるクラウド型DMPの提供も検討しているという。

阪井洋之・執行役員常務は「ICT活用でエンターテインメント性を高めたスポーツ観戦を実現」をテーマにした講演で、「富士通はICTでスポーツ界に貢献していく。2020年を契機に日本のスポーツ産業は大きく成長する。スポーツ産業の発展をはじめ、スポーツを通じた”健康・生きがい””地域活性化””バリアフリー”にも取り組み、社会に貢献していきたい」と語った。

近年、グローバルのスポーツ市場は成長を続けている。国内においても、今後、スポーツ産業を日本の基幹産業として発展させ、選手育成や地域スポーツの活性化につなげることが望まれる。さまざまなICT関連技術を持つ富士通には大きな期待がかかっている。

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